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和にこだわる第4弾は「池波正太郎!」

 先日、兼ねてから気になっていた池波正太郎記念文庫に行ってまいりました。
池波正太郎の本に描かれている江戸の様子や、そこにでてくる粋な人物像にひかれていたので
この本を描いている池波正太郎とはどんな人物なのかを探りに行って参りました。

 台東区中央図書館のなかにある記念文庫は著作本の初刊本700冊や数々の名作が
生まれた書斎の復元展示、著者が使った万年筆、パイプ、帽子などの愛用品の展示など
その他の時代小説コーナーでは約3000冊を展示など小さいながらも充実した内容に
見入ってしまいました。なかでも今にもここで書いていた様なリアルな復元ぶりの書斎は、
とても感慨深いものがありました。

 そもそも僕が池波小説にはまってしまったきっかけは『鬼平犯科帳』からです。
母親が歌舞伎好きで中村吉右衛門のファンでした。テレビドラマ版の鬼平の主役
長谷川平蔵を演じているのが吉右衛門だったので、その小説版も家にあったのです。
時代物の割に、書き方が現代風で江戸の様子とグルメが満載。
その魅力にどんどん惹かれていきました。簡単な内容としては、
「鬼の平蔵」とよばれる長谷川平蔵が若い頃、深川近辺でその顔を知られ
放浪三昧の生活を送っていました。その至らない経験の数々が火付盗賊改方長官
(江戸時代に重罪である放火、盗賊を取り締まる役職)になった平蔵の人間性に深みを
もたせています。鬼の平蔵と呼ばれる一方で捕らえられた盗賊に対して友人のように
接したり、父親のような優しさを見せることもあり、単純な勧善懲悪ではない
物語の深み、複雑な味わいを感じられます。
主人公だけでなく、そこに登場する江戸の人物にも魅力があり
盗みの三か条というのがあり、「本筋の盗人」が守るべきとされる掟で
  『盗まれて難儀する者へは手を出さぬこと』
  『人を殺めぬこと』
  『女を手込めにせぬこと』
の三か条からなるようです。

そういうルールの守れない盗人の仕事を『畜生働き』と呼ばれているそうです。
悪いこと(盗み)をすることはいけないことです。ただ人の道を外すことは
もっと悪いことなんです。というようなことが書かれているのも、今の社会への
メッセージとしても伝わりそうですね。
堅苦しいことばかりではなく、毎回痛快に江戸の小気味良さが伝わるのでオススメです。

 話は戻りますが、池波正太郎は時代小説だけでなくエッセイも数多く書いていました。
食にこだわりのある美食家ならではの話だったら『昔の味』や『銀座日記』などのグルメ本。
僕が一番好きで今でもたまに読み返している本が『男の作法』。
食べる・住む・装う・つきあう・生きるの5構成からなっています。
例えば『食』だと
   てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、
   親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べていかなきゃ
   てんぷら屋の親父は喜ばないんだよ。
   お酒は2本までが限度だね。
   てんぷら屋に行って、ビールをがぶがぶ飲んだりウイスキーを飲んだりしてたら
   もう肝心のてんぷらの味が落ちちゃってね。
   それから鮨屋でもやっぱり2本が限度ですよ」
『つきあう』でひとつ、
   男の顔をいい顔に変えていくことが男を磨くことなんだよ。
   人間とか人生の味わいというものは理屈では決められない中間色にあるんだ。
   つまり、白と黒の間のとりなしに。
   そのもっと肝心な部分をそっくり捨てちゃって、
   白か黒だけで全てを決めてしまう時代だからね、今は。
   こういう時代では、男の意地、夢、ロマンというものは確かに見つけにくいでしょう。
などなど粋で、お洒落で、思いやりがあって、人を喜ばすことができて、
そんな人になりたいと思うような事がいっぱい書いてある本です。
他にも時代小説『藤枝梅安』『剣客商売』『真田太平記』などなど
粋な男の話を書いている本がたくさんあります。

池波正太郎は古い日本人の粋な心も持つ反面、新しい物事にも大変敏感な方だったそうです。
温故知新を地でいく人だったのでしょう。
僕もそういう人になれるように日々やっていきます。


    2006.6.26

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